暮らしのあれやこれや

山ノ頂 ― 岩手の鹿革と、活用の輪をひろげるために

岩手では、野生のシカが増えすぎていることが大きな課題になっています。
年間でおよそ2万8,000頭近くが駆除されており、その背景には深刻な影響があります。

農作物を食べ尽くしてしまう被害。
牧草地が荒れ、林業の木が育たなくなる問題。
さらに、高山植物などの貴重な植生が食べられて消えてしまうケースも。
下草がなくなることで土砂が流れやすくなり、山の環境そのものが弱くなっていく。

こうした「生態系のゆがみ」を整えるために捕獲が行われていますが、実際に活用されるのは全体の1割ほど。
多くの命が、そのまま廃棄されてしまうのが現状です。

 

その中で、少しでも活用の道をひらくために ― 山ノ頂

鹿革 山ノ頂

私たち山ノ頂は、無駄になる命を減らし、地域の資源として循環させていくための取り組みとして立ち上がりました。

鹿革は、驚くほど良い素材です。
初めて触れた方が必ず言うのが、「こんなに柔らかいの?」「きめ細かくて軽い」という感想。
その心地よさから、“革のカシミヤ”とも呼ばれるほどです。

だからこそ、この素材を眠らせてしまうのではなく、
一頭一頭の命を、形を変えて暮らしへつないでいきたい。
その想いで、山ノ頂の革づくりは進んでいます。

 

2025年、私たちが活用できた命

2025年には、約66頭分の鹿革を製品として活かすことができました。
そして、同じ山で生きた熊の革も7頭分、活用につなげることができました。

もちろん、岩手全体の頭数からみれば、まだ微力かもしれません。
それでも、この取り組みは確実に“動き”を生んでいます。

捕獲した鹿の革を丁寧に整理してくださる方、鞣し加工を担うタンナーさん、現場で向き合う猟師さん。

革一枚が動くたびに、地域の中に小さな経済循環が生まれる。
この循環が続いていけば、守られる命も、つながる暮らしも増えていくはずです。

 

微力でも、動かし続けること。

66頭、7頭という数字は大きくはありません。
それでも、“活用されずに消えていたかもしれない命”が、いま誰かの暮らしの中で新しい役割を持って生き続けている。

その事実こそが、山ノ頂の取り組みそのものです。

これからも野生の恵みを無駄にせず、関わる人すべてに還元される循環を少しずつ広げながら、岩手の鹿革が地域の未来を支える一つの資源として息づいていくよう取り組みを続けていきたいと思っています。

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