暮らしのあれやこれや

裂いて、織って、新しい生地にする裂き織 -リサイクル-

リサイクルは使い終わったものをもう一度資源に戻し製品を作ること。
一般的なリサイクル活動は、使い終わった紙ゴミやプラスチックゴミを分別し、熱処理を加え資源に戻します。その後また新しい製品へと生まれ変わります。

私たちがものづくりを行っている岩手県には「裂き織」という文化があります。布を裂いて紐状に戻し、裂いた布を織る、それが裂き織です。裂き織の起源は江戸時代にまでさかのぼり、当時は日常で着られた衣服や布団の布を細く裂き、織り上げていきました。現代では様々な生地が手に入るようになりましたが、先人たちが残してくれた裂き織は、環境や社会に配慮したエコファブリックとして見直されています。


着られなくなってしまった衣服は、裂き織の技術によって、また新たな裂き織生地へと生まれ変わる。生まれ変わる過程は全て人の手によって仕上げられます。
裂いた布を一本一本織り込んでいく。たくさんの時間と、てまひまをかけて作られる裂き織生地。その魅力の一つとして、手仕事のあたたかさが感じられます。それらはものを大切にする東北の文化が教えてくれた、ものを愛おしく思う心がこもっているからではないでしょうか。衣服を最後まで大切に着るために、裂いてひもに戻し、また織って生地にする。衣服のリサイクルは時を超えて、今も大切にされている文化となって私たちのもとに寄り添ってくれています。


すべてのen・nichiの道具についている裂き織ループ。これらは染めの段階で出てしまう残布を裂き織にしています。普通なら捨ててしまうようなところですが、それすらも無駄にしない。私たちが大切にしている文化に見習って、ものづくりをしています。


またen・nichiで販売した「敬老の日ギフト」のラッピングには、京屋染物店で製作した絆纏の残布をきんちゃくにして活用していました。絆纏を作る際、どうしても断ち落としてしまう生地があります。それらを活用し本染めのきんちゃくとしてまた価値のあるものにする。ものを作る工程だけではなく、お客さまに届けるところにも、ものを大切にする心をもって行っています。