
今回、東北歴史資料館で野良着の収蔵資料を見せていただく機会をいただきました。
取材にあたり、学芸員の方々にご協力いただき、普段は一般公開されていない収蔵資料の中から実際に宮城県内各地で使われていた野良着を特別に見せていただきました。

野良着についてはこれまでも各地でリサーチを重ね、実際の衣服や地域の話に触れてきました。
麻が東北の暮らしを支えてきたこと、木綿が貴重だったこと、刺し子による修繕、動きやすさを生む袖の構造など、これまでも見聞きし考えてきたことではありますが、今回あらためて収蔵資料というまとまった視点から見つめ直すことで、その背景や積み重ねをより深く学ぶ時間になりました。
収蔵庫に並んだ野良着を見ると、一着一着の違い以上に通底する考え方のようなものが見えてきます。

限られた素材を活かし切ること。
壊れたら直し、手を加えながら使い続けること。
身体に合わせるのではなく、布の性質や構造を読みながら動きをつくること。
そうした知恵は決して特別なものではなく、日々の暮らしのなかから生まれてきたものだったように感じます。

そして印象的だったのは、野良着が単なる労働着ではなく暮らし着でもあったということでした。
農作業や共同作業は、人が集まり交流する時間でもありました。
働くための服でありながら人に会うための身支度や、少しでも美しくありたいという気持ちもそこにはあったそうです。
細かな刺し子や布使いからは実用性だけではない、その人らしさや装いへの意識もうかがえました。
労働のための服でありながら、そこに美しさや誇りが宿っていることに、どこか健気さのようなものも感じます。

また、もじり袖をはじめとする構造も実物を並べて見ることで改めて理解が深まりました。
伸縮性のある高機能素材がない時代に、生地の地の目や裁断方向、わずかなゆとりを使いながら身体の動きをつくる。
素材の性能に頼るのではなく、構造によって快適さを生み出す考え方は、現代の服づくりにも通じるものがあります。

今回のフィールドリサーチでは、過去の暮らしを知るというより、服のつくられ方や使われ方をもう一度見直す時間になりました。
資料館で見た野良着は、昔の服として残されているのではなく、その土地で生きるために編集され続けた知恵の集積のようにも見えます。
そして、その視点は縁日の服作りにも確かにつながっています。
すでに社内でも、このリサーチから着想を得て企画が動きはじめています。
どんな形になるのか、私たち自身も楽しみにしています。