
今日は、東北に伝わる野良着「猿袴」の話です。
自然と共に農的な生活を営んできた東北で、山仕事や畑仕事の作業着として穿かれていた衣服。
縁日の定番パンツ「SAPPAKAMA」の原型となったその野良着のことを、もっともっと知りたい、語りたい。
私たちの初心に立ち返り、サッパカマのルーツをもう一度、一から調べ直してみました。
「猿袴探究」と名付けて、何回かに分けてお届けしていきます。
サッパカマはどこの呼び名?

手元にあるいくつかの書籍を参考に、「サッパカマ・サルバカマ・サル」の単語をキーワードにしてルーツを探っていきます。
サルバカマ/サッパカマ/サルコバカマ/サルッコ/サルッペ/サルモモシキ……
調べていると地域で呼び名が安定することはなく、様々な名前が出てきます。
●「サッパカマ」に名前が近いものを赤のピンで、
●名前は違うけど形が近いものを青のピンで、地図にメモしていきました。
※私の手元にある限られた資料の中からかいつまんで記しているものなので、もちろんこれが全てではないということはご理解ください。

こうしてみると、「サッパカマと同じらしいもの・似ているらしいもの」が、東北6県の中でかなり広く使われていたようです。
「サッパカマに近い名前」でみると
特に、福島県・会津地方に「サッパカマ・サルバカマ」という名前が多く出てきました。
実は昔、縁日で猿袴を調べるためにフィールドワークしていた当初も、その名前を追って会津地方に足を伸ばしたことがあります。
同じ形のものが、会津では「サッパカマ・サルバカマ」など、岩手では「サルコバカマ・サルッペ」など、違う呼び名で穿かれていました。
「サッパカマに近い形」でみると
同じ作りの野良着が会津や岩手の他にもあったようです。
例えば秋田では「デタチ」、山形では「タツケ」という名前で登場してきました。
シンプルに「もんぺ」という呼び方で形はサッパカマと同じ、というものもあり、これはかなり時代と人の流れの中で形と名前がごちゃ混ぜになっていったのではないかという気配も……。
とにかく、会津のサッパカマをはじめ、農山仕事に適した形の野良着が東北各地で穿かれていて、呼び名も地域によって様々あったようです。
サッパカマの形

サッパカマとかサルコバカマとかサルッペとか、様々な呼び名で穿かれてきたその野良着は、形に特徴があります。
・腰回りはかなりゆったり
・股下に四角いマチ布がつく
・ふくらはぎは脚に沿うように細く、三角っぽい布がつく


農山仕事で穿かれたものなので、動きやすさを重視した作りになっているようです。
腰回りのゆったりさは、ただ動きやすさだけではなく、昔は上衣の着物の裾を袴に入れて着たので、そのためのゆとりでもあったようです。
ふくらはぎが細いのは、野山でも足捌きが良く、仕事の邪魔にならないため。
縁日で今作っているSAPPAKAMAよりも、当時のものはふくらはぎがもっとピッタリとタイトな形でした。
自分たちの着るものは自分たちで作る時代だったので、家族一人一人の脚の太さに合わせてピッタリ作ることができたようです。
形の構造は同じでも、各家々で作られていたものですから、細かな仕立ての部分は少しずつ違っていたことでしょう。

サッパカマと一括りに定義しようとしても、各地域ごと、各家ごとに少しずつ形も呼び名も違う。
実はとても曖昧なものなのではないかと思いました。
調べれば調べるほど、「これがサッパカマだ!」と言い切るのが難しくなっていく……。
これはなかなかに沼地のようなジャンルだと、前のめりにならずにはいられません。
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次回の猿袴探究では、猿袴・サッパカマの名前の由来についてお届けします。
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東北の野良着「猿袴(さっぱかま)」を、今の暮らしに合わせてつくった縁日の「SAPPAKAMA」。